こんにちは。仙台市若林区おろしまち歯科医院 臼井です。
これまで、歯の治療をした可能性がある痕跡が確認されていた最古の人類の化石は約1万4千年前のものでした。
イタリアで見つかった現生人類(ホモ・サピエンス)の歯の化石には、石器でむし歯を削ったと思われる痕が残っていたそうです。
1万4千年前といえば日本は縄文時代が始まった頃。
とんでもなく古い時代に、すでにむし歯になった部分を削り取るという、言うなれば歯の治療が行われていた可能性がある事は考えられていました。
ちなみに、以前ブログで紹介した日本の縄文時代の人骨に見られたむし歯は治療されていませんでした。

歯を抜いたと思われる化石は見つかっていましたが、歯を削るという考え方はかなり先進的だったのかもしれません。
しかし!
今回、ロシアの洞窟で発見された、約4万年前に絶滅したと考えられているネアンデルタール人の歯の化石に、やはり石器でむし歯を削ったと思われる痕跡が認められたという発表がありました。
見つかった化石の年代を調べてみると、なんと5万9千年前❗️
これまで最古の治療の痕跡と考えられていた1万4千年前から、さらに遡ること4万5千年…。
調べてみると、まだ氷河期だったこの頃、日本はまだユーラシア大陸と繋がっていて、マンモスやナウマンゾウがいて、まさにちょうど我々の祖先の現生人類(ホモ・サピエンス)がアジア一帯に広がり始めた頃の様です。
日本に人類が住んでいた証拠が確認されているのは3万8千年〜4万2千年前以降であるとのことなので、もしかしたら丁度ご先祖様たちが、マンモスやナウマンゾウを追って日本列島に到達したかもしれないその頃に、ロシアの洞窟で暮らしていたネアンデルタール人の中でむし歯の痛みに耐えかねた誰かが、こんな痛む歯は削ってしまえ!と自らか誰かに頼んだのかは定かではありませんが、石器で歯を削っていたのかもしれません。
もし、たまたまそこに暮らしていたネアンデルタール人の誰か1人だけがその様な行動をしていて、今回たまたまその1人の歯の化石が見つかったと考えると、その確率の方がほぼ0に近いと思われるので、その様な行動はもっと多くのネアンデルタール人が行っていたのかもしれません。
また、ネアンデルタール人と現生人類(ホモ・サピエンス)とは、同時期に存在していたことがあり、交流していた可能性も高いとも考えられているそうなので、痛い歯は削ると痛みが和らぐよ。とご先祖様は近くのネアンデルタール人から教わったりしたのかもしれませんね。
健全な歯を削ることができる石となると、その素材はかなり限定的になってしまいますが、この化石では歯髄腔に達するほど削られていたということなので、
むし歯としてはかなり進行して脆くなっていた(あるいはすでに崩壊していた?)歯冠部を削り取って、根の先(根尖部)に溜まっていたガスや膿を出した結果、症状が楽になったということを経験として学んでいたのかもしれません。
実は、現在の歯科治療においても応急的に同じような治療を行なって、取り急ぎ強い痛みや腫れを改善することがあります☝️
削った歯が5万9千年の間化石として残っていたことにも驚きですよね。
いろいろ想像力が掻き立てられるニュースですが、考古学の分野も、歯科と同様に時代が進んで、さらに各種技術や考え方が進歩すると、これまで考えられていた常識が覆されたり、より確証が得られたりするのも面白いところです。今後、更なる発見や分析、研究結果が発表されたり、更新されるのを楽しみにしつつ、
臼井が歯科医になってから20年。5万9千年と比べると一瞬に過ぎないことを感じながら、これからも精進していこうと思いました😁